セットバックして提供された空間、そこに植えられた大きな欅、壁をはい上がる蔦、少し奥まったひかえめな玄関…。30年近く前に建てられたものであるが、現在にも十分通用するデザインである。
店舗の入れ替わりの激しい大名にあって、壁の雨だれの跡さえ味わいとなるほど、しっくりとまちに馴染んでいる。
インスタント、使い捨て、デジカメ、最近に至っては携帯電話にさえカメラ機能が付き、写真を撮ることが日常的なことになった今日でも、「写真館」で撮る写真は特別である。
七五三や誕生日、成人のお祝い…。ドアの上の天使像は今までいくつの祝祭を見守ってきたのであろうか。またこれからいくつの喜びを分かち合ってゆくのだろうか。