当施設は国営海の中道海浜公園内に立地し、「海」をテーマに、楽しみながら学ぶ新しいタイプの海洋生態科学館である。「白い貝」をモチーフにデザインされたというこの建物は、扇状の平面形と貝殻を連想させる特徴ある形の屋根をもち、まわりの美しい自然環境とも一体となって、公園内に快適で楽しい空間を提供している。建物の単純で明快な形態とひかえめな表情は、周辺の景観を乱すことなく、しかも施設の存在をわかりやすくしており、訪れる人に心のときめきと安心感を与えてくれる。建物の海側の表情は、やや大きなコンクリートのかたまりといった感じもするが、博多湾の海上あるいは対岸から見るとき、広い空と海との間にあっては、そのスケール感がむしろ魅力的であり、博多湾の景観形成にとっての重要な要素のひとつになっている。