都市景観というと見える姿ばかりに目がいってしまいがちだが、実は都市がもつ歴史に育まれた生活力がいかに具現化されているかも重要なファクターである。受賞作は、博多が饅頭誕生の地であること、そして山笠の廻り止め(決勝点)に位置することから、博多のランドマークたれという老舗菓子屋の凛とした気概が感じられるものである。建物は、町屋をイメージした決して大きなものではないが、暖簾やディスプレイなどにも季節のあしらいがあり、博多の文化を大切にしたいという思いが、そこはかとなくメッセージとして伝わってくる。店先では饅頭をふかす蒸気があがっている・・・なつかしい、そしてなんとも美味しい景観をかもしだしている建物である。