福岡市は、今、西に向かって発展している。都市高速の延伸や九大移転、その周辺の住宅開発は、バブル崩壊後の日本とは思えないほどの盛況ぶりである。ややもすると単調になりがちなこうした郊外開発に強いアクセントを与えているが、この海に大きく開けたマリーナを背景にしたマリノアシティの商業コンプレックス(複合体)である。この建築群は、キャナルシティやリバレインをしのぐアミューズメントの器とコンテンツ(内容)を提供しながらも実に軽快である。土地の属性や建築の形態にとらわれず、市民の求める遊び心の移り気に変幻自在に対応していけそうな身軽さである。これからの商業空間がつくり出すべき空間の軽さを象徴する景観がそこにある。