2005年2月、長く交通問題から取り残されていた福岡市西南部から天神の街へ一気に風穴が空いた。街角に異空間を出現させたガラス張りの入り口に飛び込むと、すぐに都心への序曲が響き出す。そして全駅コンコースに共通の明るいユニバーサルデザインと、駅ごとの個性を演出するユニークな壁の味わいに、イベント気分は盛り上がる。実はこの七隈線の設計が始まったのは10年前。折しもバブルが崩壊、予期せぬ過酷な予算縮減との戦いが待ち受けていた。この難題を、福岡方式とも呼ぶべき、あらゆる部門が連携しデザイナーが継続的に責任を持つ「トータルデザイン」によってみごと克服した。
何となくワクワクしてしまうのにはちゃんと理由(わけ)があるのである。