松林に囲まれた既存の児童養護施設の増改築計画である。できるだけ松林と起伏あるランドスケープを残しながら、いくつもの施設が新しく計画された木造の渡り廊下によって接続されている。木造あり、RC造あり、建設された時代も様々な既存建物を改修して、そこに新しい建物を追加しているのだが、どこからどこまでが古い建物なのかがほとんど分からない。ほぼ平屋の建物群はひっそりと自然の中に溶け込んでいるが、その風景の印象を決定づけているのが絶妙に配置された渡り廊下である。それはまるで自然の中の遊歩道のようであり、そこを歩いていると自然と幸せな気持ちになる。敷地の状況を注意深く読んで、既存の施設を生かす細やかなデザインは、環境の時代を象徴している。