ビル壁面のミラーガラスに、
博多湾から進入する旅客機の機影がかすめる。建物の前庭にある樹齢四百年の大銀杏の四季折々のたたずまいが映し出される。
メカニックなビルの壁面が表情を持ち、街の景観を多彩なものにした。このビルは、黒田藩家臣の屋敷跡にある。
道路沿いに立っている市指定の保存樹木の大銀杏を残すため、ビルを、道に向かって斜めに建て、大銀杏のある部分を公共スペースとした。道路から見えるビルの壁面がスクリーンの役 目を果たし、青空も、雲も、身近に引き寄せている。一体は中央区役所、銀行などがあるオフィス・商業地域。樹木保存という建築上の制約が、逆に、 街並みに潤いを与えたと言える。