都市は有機的な生き物だ、と思う。生命体の維持には、必ずしも美的でない部分を伴う。都市生活者は、時として迷惑だと思う施設も都市が生きるために必要だ、とは意識する。それなら、積極的にこういう施設を、身近で美的に自分たちの生活環境に取り込めたらすてきだ。諸岡池は、水の汚濁や事故などで、都市化とともに迷惑施設となりがちな農業用水用溜池を、周辺環境にマッチし、住民に開放的な空間に生まれ変わらせている。事故を恐れて閉鎖的になりがちなこういう施設を、柵で囲い込まず、浅瀬をつくって人を水に近づけるという空間の再生方法は、利用者に環境は自分の責任で楽しむという都市生活のマナー意識を生む。こういう発想の転換には、大賛成だ。