ワイン倉。緑のブドウ畑と輝くように浮き立つ町並み。夕日を浴びたディーズ・セラーに、なつかしいワインの情景が重なる。港近くの倉庫群の中にあって、潤いのある一画をつくりだした功績を高く評価する。話題になっているウォーターフロントの課題が新しい快適空間の創造にあるとすれば、ディーズ・セラーは在来の空間でその実践例を示した。アプローチの演出に難点がありせっかくの努力も半減しているきらいはあるが、さらに充実した空間に育て、この地域をリードすることを願って景観賞に選定された。
石畳と緑と古いブドウ搾器。芳醇なワインを期待できる舞台がここに現れることを望みたい。