創業130年余の濵地酒造は、糸島半島の田園地帯を走る県道85号線沿いにある。明治3年に建てられた酒蔵は、今も仕込み倉や貯蔵倉などに使用されている現役だ。がっしりとした梁や柱は酒造りを見守ってきた。酒蔵と主屋(昭和28年築)に囲まれた一角には、杉の酒林と役目を終えた巨大な酒樽が配され、老舗の造り酒屋として趣きある空間になっている。しかし、風雨や福岡西方沖地震による傷みで、屋根瓦のずれや外壁の亀裂などが目立ってきた。貴重な建物は、酒造りの伝統とともに守り続けてほしいものである。
近代的な建築が林立する九州大学伊都キャンパスのすぐ近くに、明治生まれの酒蔵が生きている。