モミジアパートメントは、西鉄高宮駅にほど近い特別緑地保全地区に隣接した閑静な住宅地にある建物である。前面の道路に面してしつらえた板塀やくぐり戸は、「焼き杉」風に深みのある茶系でまとめられ、岩肌を活かした石積みの擁壁とともに落ち着いたファサードを創り出している。建物の外観は、漆喰をイメージさせる白を基調としたシンプルなもので、全体として、モノトーンで「和」の雰囲気を感じさせつつモダンさも併せもつ建物となっている。塀から覗く「モミジ」や西側隣地との間に設けられた空地など周辺景観への配慮も感じられ、とかく無機質、機能優先になりがちなこの種の建物の殻を打ち破る試みが感じられる。今後ともモミジや空地などが適切に管理され、緑豊かな景観に一層馴染んでいくことを期待したい。