鋭角で構成された抑えたローズ色の壁をくぐって園内に一歩入ると、そこは童話の世界だ。森の門番小屋を思わせる丸い建物の先に、アリスのきのこあるいはガウディの作品のようなオブジェが姿を現す。渦巻きタイルの床で靴を脱いで室内に入ると、自然光を取り入れたオープンな空間に大きな木がそびえ立つ。原木の一辺だけを平らにしてはめ込んだ階段を上ってみる。三角窓のついた緑の扉やアーチ型の間仕切りが見えてきて、その向こうには何があるのだろうと、心ざわめく。曲線と斜めに伸びる線、光と闇、温もりと冷たさ、ざらざらとつるつる、歓声と静寂。子ども達はこの空間に触発されてさまざまな物語を編みだし、遊びを創り出すことだろう。ここには感性を育む空間のひとつの形がある。