いつの頃からか日本庭園は塀に囲まれ、中では家人が密かに池の鯉を楽しみ、一般庶民が垣間見ることが出来ない閉鎖的空間というイメージが広がった。勿論プライバシーは尊重されるべきであろうが、本当にイメージ通りだろうか。否!日本庭園には素材の形そのものだけでなく、形の持つ氣勢いを生かす工夫や知恵が組み込まれている。空に伸び、地に潜り、横に這う力、目には見えないいわば影響圏のようなものが、石の据え方や、植物の植え方や全体構成にも巧に応用され、日本庭園の素材や構成の氣勢はむしろ外へ向かう面を持ち合わせている。見越しの松や、亭々としたカシの木の生け垣は庭園にありながら地域住民や行き交う人々の目を楽しませてくれている。また借景やしじまをわたる鹿脅し(僧都)の響きは庭外の環境と無縁ではない。池泉回遊式庭園は生態系などの難しさにとらわれない立派なビオトープであり、友泉亭公園は福岡市の風景作りに充分貢献している。