築35年の事務所ビルの再生事例である。耐震性の不安や設備の老朽化、外壁の劣化等の問題を解決すると同時に、新たな外観を作り出すことが意図されている。設計を担当した青木氏は、これまでにもこのような「リファイン建築」を数多く手掛けてきている。ただ、ここでは他の作品のように大胆な造形が付加されることはなく、都市を構成するパーツとしての外観となっている。その姿は、オフィス街の角地に立つ建築として相応しく、また、通りの特性に配慮するという、アーバンデザインの発想を読み取ることができる。
都市景観賞はこれまで現代作品といえば新築事例がその対象となってきた。今後の都市景観を考える場合、このような再生事例が受賞したことの意義は大きい。