1994年12月にオープンした「あいれふ」の入口に据えられた、赤い大きな犬を型どった彫刻が目をひく。ニューヨークの若者に圧倒的な人気のあったキース・ヘリング(1958~1990)の貴重な作品。福岡の元気を象徴するようなダイナミックで華やかな印象が、市民の生活と健康の拠点「あいれふ」にぴったりである。「福岡市彫刻のあるまちづくり」の20件目の選考作品。豊かな景観を彩る彫刻もやっと板についてきた感がある。ただし苦言がひとつある。せっかくのすぐれた彫刻が周辺の空間や台座への配慮の乏しさによって生かされていない例が多いこと。この作品も芝生面がもう少し盛り上がっていたらと惜しまれる。今後も心を豊かにさせる彫刻の展開を楽しみにしつつ、空間としてのトータルな成熟も期待したい。