東芝福岡ビル立体駐車場は、長浜の港近くに建てられた駐車場のビルで、全体が波と青空をイメージさせるスーパーグラフィックス(環境絵画)で覆われている。1970年代を中心に脚光を浴びた手法で、今このような形で再会するとは思わなかったが、やや喧騒感のある港湾地区を背景にさわやかに異彩を放っている。周辺の景観改善に刺激を与えると思われ、ほどよくバランスのとれた抽象的な表現は、これまでの類例の中でも出色の出来だろう。骨格が剥き出しになって景観上も問題になりがちな駐車場ビルにおけるこうした配慮は、今後のすぐれた指針になる。ただし、スーパーグラフィックスについては、表現力と地区の特性とが巧みに調和したものであって、どこにでも適用できるものではない。ひとつの稀な成功例として称賛するものである。