本作品は、市民や法人等を顧客とする金融企業の施設である。ややもすれば閉鎖的になりがちな用途の敷地でありながら、上階13層のオフィスの下部に高さ15mピロティー部分と屋外の緑地が一体となった空間が確保され、往来する人々に開放されている。オフィスの玄関が面する陽の射さないピロティー部分には水面と舗装等で示された軸線が設けられている。屋外の明るい空間に確保された潤いある緑陰空間へとつなげられているこの軸線や、保存樹に指定されたケヤキの巨木の存在によって、周辺のオープンスペースや街並みとの連続性が確保されている。また、彫刻やベンチが設置されることで景観を構成する街角の魅力的な視点場としての貴重な役割も果たしている。