交通量の多い明治通りと昭和通りの交差点に面し、大濠公園の緑を背景に、この建物は建っている。4階建てと低層のわりにその存在感、ボリュームは相当なものであるが、かといっていたずらに自己を主張せず、公園の緑と調和した色調や、シンプルなデザインながら重厚な雰囲気によって、周辺も含めたこの地区の都市景観を印象づける主要な要素となっている。昭和9年に建築されて以来、幾度かの改修の際にも既存の景観を損なわないように配慮され、現在も当時の外観をほぼそのまま残している点も高く評価したい。福岡の歴史の重みを持つ景観を見直そうとするとき、まず、念頭に浮かぶ建物の一つであることは間違いない。