那の津通りの西端近くに位置する校舎群は、それぞれ建築時期が異なるにも関わらず統一感があり、施主の一貫した姿勢が伺え、今やこの通りのランドマークになっている。通りと敷地の境界の鉄柵は教育現場の安全を象徴しているが、塀ではなく柵であるので女子教育にありがちな閉鎖性を主張することなく、建築壁面までの視線のゆとりを可能として、芝生広場と共に全体的な優しさを醸し出している。特に建学の精神の一つである「優しく」を具現化している芝生広場の空間は命を育む女性の懐や包容力を象徴している様に思える。空間の意義を再確認し、今後この広場が記念樹等の植栽場所に専有されること無く「空き」や「間」も大切だということが教育に生かされていくことを願う。