福岡の海の景観といえば、人々のレクリエーションの場としてのウォーターフロント、能古島や志賀島の見える景色、ひいては博多湾を塞ぐ倉庫群など通常は思い浮かぶ。商都の都心の賑わいの中には、その近さにも関わらず「海」を実感させるものは意外に少ない。
この造船所は、鮮魚市場に向き合い、都市高速道路の荒津大橋の眼下で、数万トンのタンカーを造り続けている。行き交う舟や車を借景として、福岡の「つくる」という「力」を直接に語るごとくにダイナミックな景観としてあり、それは感動的でもある。造船とは古来「アーキテクチャー(建築)」であることを思い起こさせ、景観の新しい見方・考え方を提示する好例としても特に推奨したい。