賞の対象となるトレーニングセンターは、諸岡川に架かる那珂下原橋の橋詰めにあたる場所にある。昔からこのような場所に位置する物には、ランドマークとしての性格を帯びると同時に街路空間や河川空間など周辺環境との一体化、調和が求められる。建物壁面のインド砂岩の赤と屋根の銅板の緑青は、周囲の街路樹(ケヤキ)の春の新緑や秋の紅葉と上手く溶け合っており、建物を取り囲む樹種の異なる低木類もそれぞれに丁寧に管理されており葉色も含めて、シーズン毎の色彩の変化を想像でき、上記の機能を十分に備えている。建設以来25年の歳月は、建築、植栽にそれぞれの風合いを醸し出しており、特にアメリカフウは、シンボルツリーとしての風格を備えつつあり、自己主張をしながら地元の風景になりきろうとしている企業の意志を表徴しているように感じることができる。