消防団やその車庫といえば、何かしら人々の間では固定したイメージが出来上がってしまっていたと思われるが、この作品は見事にそのイメージを覆してしまった。敷地の位置する地形も小高く、また角地であることもあって、ランドマーク性が高くなる条件に恵まれていたともいえるが、建築的な処理で、それが活かされるか否かは別問題であろう。規模は小さくても、コンクリートによるシンプルな構成、また色彩やグラフィックの工夫による存在の主張も明快でランドマーク性を高めている。角地の見通しの確保などにも、細かな神経が行き届き、公的建築の地域性、ひいては地域活動としての消防団の意義を自ずと示して見事である。