職人は職に対して一徹であると同時に生き方も一筋なのであろう。周囲が閑静な住宅街、正面が女子高という商売には凡そ不似合いの環境の中で、目立ちたがらないが自分の主張は頑として譲らない店構えはそのことを物語っている。店頭に瀟洒な植物を持ち込む手法は最近の流行りであるが、通常なら軒下の空間に合う植物を採用するのがせいぜいであろう。樹幹の高さに合わせて庇に穴をあける頑固さは、同時に店頭の鉢の中で飼われているめだかなど生き物へのやさしさを象徴している、2階の植栽も嘗てはこの地を被っていた近隣里山の樹林地へつながる思いやりを感じる事が出来る。朝に夕に垣間見るこの風景から頑固さはやさしさでもあるということに気付くには女学生では若すぎるだろうか。