木が育ち、人や車が行き交い、建物ができ、店が軒を並べ、それらすべてが一体となって、生きた景観が生まれる。生きた景観は、一朝一夕に成るものではなく、時がつくり、さらに時とともに変化する。福岡の中心部、警固1丁目交差点から赤坂3丁目交差点までの全長800 メートルほどの「けやき通り」は、このようなタイプの景観である。昭和30 年代に樹齢20 年のケヤキが植えられてから50 年あまりの時を経て、見事に成長した並木が沿道の店や行き交う人々の息づかいと調和して、洗練された文化的なエリアを形成した。夏には涼しげな緑のトンネル、秋には紅葉を、冬には幹や枝の生命力を見せてくれる。都会と自然が調和した贅沢な景観が魅力的だ。