この教会は、都心といっても良い土地高度利用のための高層化が進む環境にある。昭和4年(1929年)の築造であるから既に80年に近い時を経ている。九州でも最初期の鉄筋コンクリートブロック造とされる低層の構えは、蔦に覆い尽くされ、建築という行為の歴史の重たさが伝わる。ともすれば「何でもあり」を是としてきたかに見える慌しく錯雑とした都市の中で、周辺との対比が生む静謐な緊張感が爽やかである。その姿には、壁面緑化という技術的・功利的で表面的な観点では納まりきれない、やはり何かかたくなでスピリチュアルな雰囲気を漂っている。都市景観の貴重な異形・異貌とでも言えようが、その末長い存続を期待したい。