九州産業大学の美術館は、地域に開かれた新しい大学美術館のあり方を示した。使いやすそうな大小の展示室と大きなアトリエのような展示空間では、学生や内外のアーティストの作品展が開催されている。芸術を学ぶ学生にとってはうらやましい限りの恵まれた環境であり、大学の意気込みも窺い知ることができる。また、地域とともに活動する姿勢も好ましい。建物は、シルバー基調のモダンで洗練された知的な造形で、居心地がいい。大学や学生のことをよく理解したすぐれた作品である。何よりも芸術を自然体で大学生活の一部に取り込んだ成果を評価したい。