海浜空間整備の前までは、パラペットとやや黒ずんだ海砂が、人を寄せつけない寂れた雰囲気を醸し出していた。しかし現在は、照葉のまちを望む内海の湖のような水面とその静けさが、人々の視線を惹きつける。岩礁の鳥居が点景として効果的だ。振り向けば立花山がある。海岸に加えられた白砂の浜が、春は潮干狩りに心地よいアクセスを提供し、夏は花火大会の観客席として多くの人々を集める。朝夕・休日の散策者は一年中多い。ここはかつて神功皇后が出陣のために髪型を男のように変えたと伝えられる場所であり、小説『点と線』の背景の一部でもあった。山水・人間活動・歴史が重層するこの場所は、福岡の新しい名所になりつつあるように思われる。