ネクサスは大規模な集合住宅がややもすれば陥りやすい規格的で単調になり勝ちな平面計画と立体的な空間を、多様でしかもリズミカルな構成として試みたところに興味を引かれる。このような個性的な設計態度はややもすれば新奇さが表面に出過ぎて破綻しやすいが、建築の形態や仕上げも含めてデザインの統合が巧みである。9棟の建物が独自のボリュームを持って変化を見せながら、総体としては、きっちりした「面構え」を持っている。内包される公共の空間も屋外の広場やランドスケープと一体の思想でまとめられている。ポストモダンを意識し過ぎているのはいやみだがいわゆる破調の手法を用いて新鮮なメッセージを表現し得たことを評価したい。