東区の北部、国道3号線の沿道に位置する私立大学のアリーナである。福岡市の東の玄関口としての象徴的な景観と、大学キャンパスらしい学生のアクティビティが表出するヒューマンスケールな風景が共存する都市景観が高く評価された。
一般にアリーナには、大型の室内空間を生み出すために長大な壁面が生じることが多いが、本施設は、楠の大樹をモチーフとした柱とガラスカーテンウォールによって、内部のアクティビティが可視化し、昼夜それぞれに印象的な景観を生み出している。幹線道路とアリーナの中間に配されたラウンジは、スポーツを介した学生たちの交流を誘発し、無機質になりがちな道路沿いの風景に動きを与える。アリーナ内部からは、楠の原始林が残る立花山を一望でき、特徴的な構造と透過性の高いファサードが、内外の景観資源をつなぐ装置として豊かに機能している。
特徴的な構造を美しく浮かび上がらせる照明計画、高低差を巧みに処理し屋内外をシームレスにつなぐアプローチ空間など、美しい景観を支える工夫も見逃せない。今後も、地域に開かれた大学施設が、豊かな福岡の都市景観を生み出す好例が続くことを期待したい。