地面のうねりに身を任せて平たく伸びる建築が、どこにもない景観を作り出す。「ぐりんぐりん」は、博多湾に浮かぶ人工島、アイランドシティの中核施設であり、人工の地面に横たわる、人間の頭脳と感性が作り出した人工物だ。すべてが人工的であるはずにもかかわらず、この建築はあたかも生命を持つもののように環境を一体化している。アイランドシティは言わば白いカンバスだ。ここに海と大地と人の営みが有機的に展開するこなれた風景が出現には時間が必要だろう。「ぐりんぐりん」は、新しいカンバスに描かれた最初のモノであり、ここを中心に様々なモノやコトが描かれていくはずだ。確固たる存在感を示しながらもそびえ立つシンボルではなく、これから生まれるあらゆるモノを融合する媒介としての可能性を感じる。