博多区上川端町で築54年を迎える冷泉荘は、昭和レトロの雰囲気を保持したリノベーション建築として高く評価できる。2011年1月には耐震改修工事も行っており、「福岡の古い建物を大切にする考え方の実践(ビルストック活用)」を基本理念に、入居者による自主的なイベントや情報発信の場として活用されている。B棟1階にはレンタルスペースも用意され、様々なアート展示や各種講演会など、まちなかの交流場としても親しまれている。とかく「新しさ」が衆目を集めやすい現代の都市空間において、冷泉荘は「ひと」「まち」「文化」を大切に思う人々の精力的な活動によって、「古さ」を最大限に活かした「新しい」都市景観の可能性を示してくれている。