浄水通りの裏手に位置する保育園。草木が丁寧に配された自然石の石積みと園庭の木々、低層の穏やかな意匠の園舎によって、大規模開発が進む地区に、心落ち着く平尾らしい景観が生み出された。石積みは、園庭と街路を緩やかに区切るマウンドとして機能し、左官の手作りの滑り台を経て、園舎二階のヒノキのデッキへつながる。園舎の外観はシンプルだが、漆喰の壁と板張りで構成される曲面が、子どもたちが使う空間らしい柔らかな表情を生み出している。内部空間では、大断面で用いられた現しの丸太や角材の柱と、ヒバの無垢材で作られた木製サッシが、木の力強さと温かみを感じさせる。豊かな緑もふんだんに用いられた木材も、維持管理に手間はかかるが、そこで生まれる人と場所の関わりが、この風景にさらなる豊かさを生み出すことだろう。