天神西通りという空間が、お洒落でときめきのある場として認識されて久しい。が、その人気は、主に北側部分に片寄っていたように思う。と言うのも、南側には中途半端に古い、色気のない建築物が多く、どこか薄暗い印象を歩く者に与えがちであった。しかし、この二、三年の間にいくつかのビルが新しい表情を見せ始め、マロニエの幼木が植裁されるなど、景観は着々と変身の準備を整えてきた。そして、サザビービルの出現。周辺に足りなかった、明るさ、若さを、品よく漂わせ、マロニエに似合う、雰囲気のある景観のシンボルとなった。人の流れは南へ伸び、賑わいも生まれた。小さいながら、強力な磁力を持った、温もりのある存在である。