斬新なデザインの建築物が次々と現れ、先取りの空気に満ちた地行・百道地区。しかし、その新しさは生活感の希薄な、無機的な印象を抱かせるところもあった。それぞれの建物が点としては完結しているのだが、生活動線のような体温が伝わってこなかったと言っていい。その意味で、地行中央公園の誕生によってもたらされた景観の温もりは意義深い。円形回廊、二層式の橋など、旧来の公園とは一線を画しながらも、その表情は明るく温かい。樋井川に架かるふれあい橋は、さながら動脈のように景観に血を通わせた。また、彫刻「ミラー・ニジンスキー」を配するなど、こまやかな気配りにも好感が持てた。歩いてみたい気分を喚起する空間である。