RKBの玄関前に建つ清水九兵衛氏の彫刻「向波容」。彩やかな真紅の力強いフィルムが印象的。清水氏は彫刻家として高名だが、もともと京焼窯元清水家七代目当主でれっきとした陶芸家である。そうと聞いて「向波容」の不思議なフォルムにも合点がいく。量感豊かなかたまりでありながら内側に空気を含んでいるような透明感がある。シーサイドももちには新しいビルが次々に生まれている。沿岸部にありがちな荒涼としたイメージは微塵もなく、砂とコンクリートとガラスの、近代的で洗練された空間が広がる。その中にドンとおかれた真紅の像は、波に向かうというよりも、実は現代のテクノロジーに立ち向かっているのではないかと思わせる。