記念碑は記念する意味合いが深ければ深いほど貴重な価値を持つ。この記念碑は、長い歴史をもつ博多港の、まさに、現代史における最も記念すべき意味合いを持つ。異国の地から引き揚げてきて、最初にわが故郷の地を見たその場所に、この記念碑は建っている。望郷人を彷彿させる、人かたちを船に乗せ、船の舳先は海へ向かい、人かたちは海へ、そして、陸へと眺望する。海を挟んだ望郷人の心境を物の見事にまで表現している。博多の港は海からの景観に難点があったが、この記念碑は夜のライトアップの効果と合わせて港景観にエポックを与えている。ただし、記念碑の見事さと対比してそれを置く土台と足元の広場が無骨であるのは極めて残念である。