福岡高校は現在、都市高速道路の橋脚のたもと、ひっきりなしに車が通過する国道沿いにある。しかしここに博多の歴史を物語る空間がしっかりと息づいていた。道路の喧噪を背に、銀杏と愛嬌ある門柱にふち取られた中庭に足を踏み入れると、学び舎の静かな空間が迎えてくれる。隣接する「博多百年蔵」の白壁とよく手入れされた庭木、そして昭和4年竣工の細部にまで装飾が施された様式建築の本館校舎とのコントラストが実に美しい。この校舎は5年の歳月をかけて平成6年に修復工事を終えたもので、その丹念な仕事ぶりは、この高校と校舎を愛する関係者や卒業生達の想いが痛いほど伝わるものである。熱心に学生徒達のじゃまにならぬよう気をつけて、市民に一度は訪れてもらいたい都心のスポットである。