令和元年8月に再整備を遂げた天神中央公園西中洲エリアは、近年全国で推進されているPark-PFI制度を活用し、天神と中洲を繋ぐ新たな賑わいの場を形成させている。エリア内に設置された「HARENO GARDEN」は透過性の高い設えとともに、明治通りからの視線や歩行者動線を考慮したデザインが施され、旧福岡県公会堂貴賓館の存在感を見事に引き立てている。また那珂川を眺めながら食事を楽しめるテラス席や貴賓館に向いた観客席にもなり得る大階段および屋上など、本エリア特有の景観資源を活かした場の創出がみられる。
さらに福博であい橋まで続く石材舗装の敷設と適切な植栽剪定によって、以前の雑然とした場所から、一体的で開放感のある洗練された水辺空間への再生が達成された。貴賓館の裏手側にあたる箇所も南側街区との連続性を重視した整備に結実し、隣接して建つ新築ビルの2階に本エリアを臨める飲食店がオープンするなど、再整備による周辺街区への波及効果も看取される。水辺都市福岡を印象づける質の高いランドスケープの事例として高く評価したい。