九州大学事務局第一庁舎は、煉瓦造2階建で、大正14年の竣工である。この石材や煉瓦等の建築資材の一部は、大正3年に竣工し、同13年に消失した工学部本館のものがリサイクル利用されている。建築形態は両端部に翼部が張り出した典型的なI字形であるが、その建築的な表情に見事な端正さが感じられる。赤色のどっしりとした煉瓦の壁に、独特な意匠でリズミカルに配置された縦窓と、建物の階層を明瞭に分離する白色の水平帯がコントラストに構成されて印象深さを与えている。必ずしも時代的な先駆性はないが、当時の欧州のセッセション的な影響や新しい取り組みが随所に見られる。福岡市における煉瓦建築物の稀少な事例であり、その存在価値を高めている。